hmm, by 東京都美術館ミュージアムショップ | ふむふむ

2025/06/20 15:30

美術の教科書でおなじみ、現代でも根強い人気を誇る日本美術「鳥獣人物戯画」。名前は聞いたことがあっても、詳しくは知らない…という方も多いかもしれません。ちょっと不思議で面白い絵巻物。ミュージアムショップでも、人気の作品をご紹介します。

絵だけで語る“日本最古の漫画”「鳥獣人物戯画」とは?

京都・高山寺に伝わる国宝の絵巻。擬人化された動物たちが生き生きと描かれた場面が人気の絵巻物ですが、セリフも説明もありません!けれど、右から左へと絵が流れるうちに「今、何か話したのかな」「次はこうなるかも」と物語が自然に浮かび上がり、想像が広がります。動きやスピードを表す線、投げた石の軌道など、現代の漫画表現に通じる工夫も随所に見られ、日本最古の“漫画”と呼ばれるのも納得の一作です。

平安時代から鎌倉時代にかけて描かれたとされ、甲・乙・丙・丁の4巻構成で約44メートルにも及びます。作者についてははっきりとわかっていませんが、平安後期の高僧・鳥羽僧正覚猷(とばそうじょうかくゆう)の作とも言われる中、絵のタッチが巻によって違うことから、何人かの絵師が描いたのでは、という説も。しかし、全体を通して緩やかな繋がりがみられ、時代を通して描き継がれてきた様子がわかります。

鳥獣戯画の代名詞、躍動感あふれる甲巻

(制作時期:平安時代、12世紀ころ) 
「鳥獣人物戯画」と聞いて、多くの人が思い浮かべるのがこの甲巻。ウサギやカエル、サルなどが相撲を取ったり、お祭りを楽しんだりと、動物たちが人間のようにふるまう姿がユーモラスに描かれています。
言葉はなくても、表情やしぐさ、流れる線によって、動きや感情が自然と伝わってくるのが見事。日本の漫画表現の原点とも言われる理由が、この巻には詰まっています。前半と後半の紙質、線描が異なることから別の人物によって描かれたとみられています。

写実的で動物図鑑のような乙巻

(制作時期:平安時代、12世紀ころ) 
打って変わって、乙巻には物語性はほとんどなく、さまざまな動物たちの写実的な姿が描かれています。鹿、虎、猿、龍といった、実在・空想上あわせて16種類の動物が登場。
まるで動物図鑑のように、細部をとらえる筆の力に驚かされる一方、甲巻の賑やかさとは異なる、静かで淡々とした趣きが漂います。甲巻後半を書いた人物と同一人物により描かれた可能性が高いといわれています。 

人と動物、ふたつの世界が交差する丙巻

(制作時期:平安~鎌倉12~13世紀ころ)
この巻は、前半が人物戯画、後半が動物戯画で構成されています。前半の人物表現は生き生きとしており、囲碁、双六、闘犬など勝負事がテーマ。後半は、甲巻のように擬人化された動物たちが人間の遊びを繰り広げていますが、猿が主人公になるなど大きな違いも。
近年の研究で、人物戯画と動物戯画は紙の表と裏に描かれていて、制作年代も絵師も異なると考えられています。

個性的な筆致で当時を伝える丁巻

(制作時期:鎌倉時代、13世紀ころ) 
最終の丁巻は、人々の生活や法会の様子が主役。動物は登場せず、僧侶や庶民の姿が淡々と描かれています。甲巻、乙巻で登場したモチーフも継承しながら、法会、田楽、験比べなど、当時の風俗や文化を知る貴重な手がかりとなる内容です。
他の巻に比べて線がやや太めで、全体的に淡くさらりと描かれた人物たち。全面にわたって誇張された滑稽な表情がこれぞ「戯画」と呼ぶにふさわしい内容です。

修復でバラバラに?絵巻の意外な秘密

実は、私たちが今見ているものは、もとの姿とは少し違っているかもしれません。長い年月の間に、絵巻の紙と紙をつなぐ糊が剥がれ、修復のためにバラバラにされたことがあります。その際、絵が失われたり順番が分からなくなった可能性があるのです。しかし、「写本」が残っていたことで、本来の流れや構成を知る手がかりになりました。
甲巻から分割された断簡の後半部分。東京国立博物館所蔵

そんな奥深い歴史と遊び心あふれる鳥獣戯画の世界。さて、ここからは、当店の新商品を交えて、その魅力を日常で気軽に楽しめる素敵なグッズをご紹介します。

食卓を豊かにするアイテム

新入荷の食器&ふきんのアイテムは、鳥獣戯画の絵柄がさりげなく取り入れられたデザインで、キッチンやダイニングをちょっと特別に演出してくれます。

▼そば猪口で和の食卓
蕎麦ちょこは、器の側面をぐるりと一周するように絵柄が施されており、どこから見ても物語の一場面を楽しめます。そばつゆの器としてはもちろん、副菜を盛る小鉢としても活躍しそう。
鳥獣戯画 そば猪口 各1,540円(税込)

▼そば猪口とおそろいデザインの小皿
蕎麦ちょこと同じデザインの小皿は、取り皿や、醤油などの調味料入れとしても。蕎麦ちょこの隣に薬味入れとして配置し、同じシリーズで食卓をコーディネートできそうですね。鳥獣戯画 小皿 1,320円(税込)全2柄

▼食卓を彩るランチョンマット
そして、和布の小さめ風呂敷は、オーガニックコットン素材で手ざわりもやさしく、食卓に上品な彩りを添えるアイテム。自然素材の温もりと落ち着いたデザインが、日々の食事時間を心地よく演出してくれます。
オーガニックコットン風呂敷 各1,870円(税込)全2色

ランチョンマットやテーブルクロスとして使えるほか、壁に飾れば和モダンなインテリアにもぴったり。風呂敷として包む際は、包み方によってキャラクターたちの見え方が変わるので、様々な表情の変化を楽しめます。

▼グラスセットはプレゼントにおすすめ
贈答用としておすすめするのは、こちらのグラスセット。涼し気な雲母のようなきらめきを有した磨りガラスに、金色の鳥獣柄が施された上品な佇まいです。
鳥獣戯画 オールドペアセット 3,850円(税込)2個セット・箱入り

コロンとしたフォルムながらも、八角形の底で持ちやすいのが嬉しいポイントです。そして、この八角形のフォルムは、縁起物としてお祝いにもぴったり。化粧箱つきなので、ギフトにおすすめです。
お茶やコーヒー、お酒でも◎氷をたっぷり入れて、ひんやり冷たいをお揃いのグラスを片手に、家族や友人と楽しいひとときを過ごしてみませんか。

ふわふわのぬいぐるみが可愛い

▼かえる&うさぎのぬいぐるみ
鳥獣戯画の象徴的なキャラクター、うさぎとかえるが、ふわふわのぬいぐるみになりました。
鳥獣戯画 ぬいぐるみ うさぎ&かえるセット 4,400円(税込)/単品 2,200円(税込)

ふんわりとした手触りと、くったり可愛いフォルムに癒されます。思わずふたり並べて飾りたくなる愛らしさです。
一緒におでかけすれば、可愛い写真がたくさん撮れそう!

▼うさぎとかえるの小さなぬいぐるみバッジ
持ち運びたい方は、ぬいバッジがおすすめ。手のひらにちょこんと収まるサイズ感なので、バッグや洋服に付けるだけでなく、チェーンを通してキーホルダーのようにぶら下げたりもできます。
ぬいバッジ うさぎ・かえる 各880円(税込)

ふわふわで可愛い!日常にほっとした癒しをもたらしてくれる小さなぬいぐるみバッジです。

夏を感じるアイテム

鳥獣戯画の世界観が楽しめる扇子と手ぬぐいは、暑い季節にぴったりの上質な和雑貨。

▼扇子で和の涼を
扇子は京都発祥の末広がりの縁起物として贈り物にも喜ばれ、男女問わず使える落ち着いたデザイン。
扇子 各3,080円(税込)全2色

鳥獣戯画柄でどこか遊び心もあり、実用性と美しさを兼備しています。

▼汗ばむ季節に和の手ぬぐい
二重ガーゼ仕立ての綿100%てぬぐいは、肌ざわりやわらかで安心の国産品。端がしっかりと縫われていて、ほつれにくく丈夫です。
ガーゼ手拭い 各770円(税込)全2色

これからの暑い季節、ハンカチやタオル代わりにしたり、首に巻いたりと、多用途に活躍します。薄くてかさばらないので、夏休みの旅行先へ、フェイスタオル代わりにもっていっても便利ですね。


「鳥獣人物戯画」は800年以上前の作品なのに、動物たちの表情や仕草はとってもイキイキ。時代を超えて人を笑顔にしてくれる、まさに日本漫画文化のルーツとも言える一作を、ミュージアムグッズとともに、ぜひ日常で楽しんでください。


参考
「もっと知りたい 鳥獣戯画」土屋貴裕 三戸信惠 監修・著 板倉聖哲 著 東京美術
「鳥獣戯画の国」金子信久 著 講談社

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