hmm, by 東京都美術館ミュージアムショップ | ふむふむ

2026/07/24 11:45


江戸の人々を魅了した、妖怪と幽霊の世界

夏になると、怪談や妖怪の話題が恋しくなるもの。妖怪や幽霊は、日本では古くから語り継がれてきた存在です。江戸時代になると怪談や妖怪を題材にした読み物や芝居が人気を集め、それにあわせて多くの絵師たちが怪異を描くようになりました。恐ろしさだけではなく、驚きやユーモア、そして絵師それぞれの想像力が詰まった作品は、多くの人々を魅了し、現在も日本美術を代表する名作として親しまれています。

今回、東京都美術館ミュージアムショップでは、そんな怪異を描いた名作をモチーフにしたオリジナルTシャツとトートバッグを制作しました。葛飾北斎、歌川国芳、河鍋暁斎──。それぞれの絵師が描いた、迫力あふれる怪異の世界を、毎日の暮らしの中でもお楽しみいただけます。

葛飾北斎 《百物語 お岩さん》

「お岩さん」と聞くと、怪談に登場するあの幽霊を思い浮かべる方も多いのではないでしょうか。お岩は、歌舞伎『東海道四谷怪談』の登場人物の一人。夫・伊右衛門の裏切りによって毒薬を飲まされ、顔を醜く変えられたお岩が、恨みを抱えて亡霊となる物語です。江戸時代には何度も上演され、人々を夢中にさせました。

そんな怪談ブームの中で生まれたのが、北斎の《百物語》シリーズです。百物語とは、百本のろうそくを灯し、一話語るごとに一本ずつ火を消していく怪談会のこと。百話目には本物の妖怪が現れると信じられ、夏の娯楽として親しまれていました。
葛飾北斎「百物語 お岩さん」 江戸時代 東京国立博物館蔵

北斎は、お岩の亡霊を破れた盆提灯と重ね合わせて描きました。提灯の裂け目とお岩の表情が一体となることで、恨みや怒りに満ちた迫力ある姿を生み出しています。怖さだけではなく、どこか切なさも感じられる一枚です。

富士山や波の風景画で知られる北斎ですが、実は妖怪や幽霊を描いた作品も多く残しています。《百物語》シリーズは、現在確認されている作品が5点。皿屋敷や般若など、それぞれ異なる怪異が描かれており、北斎の豊かな想像力を楽しむことができます。
左:さらやしき 右:こはだ小平二
左:笑ひはんにや 右:しうねん

Tシャツやバッグは、お岩の印象的な姿をシンプルな線画で描き起こしたオリジナルデザイン。バッグにはさらに鮮やかなアクセントカラーを添え、怪談の世界をモダンな感覚で楽しめる、存在感のあるアイテムとなりました。裏面にも絵柄がさりげなく続き、作品の世界観をぐるりと楽しめます。
Tシャツ 4,200円(税込)
トートバッグ 3,850円(税込)

歌川国芳 《相馬の古内裏》

「がしゃどくろ」といえば、この作品を思い浮かべる方も多いかもしれません。実は、この巨大な骸骨は妖怪そのものではありません。物語の主人公は、平将門の娘・滝夜叉姫。父の無念を晴らすため妖術を身につけ、敵である大宅太郎光国を襲う場面です。そのとき呼び出されたのが、この巨大な骸骨でした。
歌川国芳「相馬の古内裏」 1844-1846年頃 東京富士美術館蔵

国芳は、原作では複数登場する骸骨を、一体の巨大な姿へ大胆に描き替えました。御簾を突き破るように現れる構図は圧巻で、今にも動き出しそうな迫力があります。

国芳は武者絵で人気を集めた絵師ですが、妖怪や怪談、猫など、遊び心あふれる作品も数多く手がけています。大胆な構図や物語を感じさせる演出は、現代の漫画や映画にも通じる魅力があります。

Tシャツやバッグでは、巨大ながしゃどくろの迫力を活かしながら、線画ならではの軽快さをプラス。国芳が描いた怪異の世界を、現代のファッションや暮らしに映えるデザインへと再構成しました。裏面には、「歌川国芳」の名前をデザインの一部としてあしらっています。
Tシャツ 4,200円(税込)
トートバッグ 3,850円(税込)

河鍋暁斎 《百鬼夜行》

夜になると、妖怪たちが列をなして町を歩く――。そんな不思議な伝承が「百鬼夜行」です。平安時代にはすでに語られていたとされ、室町時代には絵巻として描かれ、多くの絵師たちが思い思いの妖怪を描いてきました。

河鍋暁斎が描いた《百鬼夜行》では、鬼や動物、器物が妖怪になったもの(付喪神)まで、さまざまな妖怪たちが登場します。怖いはずなのに、どこか楽しそうに行進したり踊ったりしている姿に、思わず見入ってしまいます。
河鍋暁斎「百鬼夜行」 1879年 大英博物館蔵

「鬼才」と呼ばれた暁斎は、圧倒的な画力と自由な発想で知られる絵師です。伝統的な妖怪画を受け継ぎながらも、自分らしいユーモアを加えた表現は、今見ても新鮮。眺めるたびに新しい妖怪の魅力を見つける楽しさがあります。

Tシャツやバッグでは、妖怪たちの躍動感を線画で軽やかに表現し、ポップな色使いをアクセントに。暁斎ならではのユーモラスで不思議な世界観を、新しいかたちでお楽しみいただけます。表裏で1枚の作品がつながる、細部までこだわったデザインです。
Tシャツ 4,200円(税込)
トートバッグ 3,850円(税込)

「怖い」だけじゃない、日本の妖怪文化

日本の妖怪や幽霊は、人々を驚かせるだけの存在ではありませんでした。目に見えない自然への畏れや、人の心の弱さ、災いへの戒めなど、さまざまな思いが妖怪という姿に託されてきたと考えられています。そのため、日本美術に描かれた怪異の世界は、恐怖だけでなく、ユーモアや風刺、豊かな想像力にもあふれています。北斎、国芳、暁斎の作品を見比べて、それぞれの絵師がどのように怪異を表現したのか、その個性の違いをミュージアムグッズを通して楽しんでみませんか?

※当店の浮世絵・日本美術関連グッズは、特別展「東京都美術館開館100周年記念 大英博物館日本美術コレクション 百花繚乱〜海を越えた江戸絵画」〈2026年7月25日(土)〜10月18日(日)〉公式グッズではありませんので、お間違いの無いようご注意ください。

Mail Magazine

新商品やキャンペーンなどの最新情報をお届けいたします。