hmm, by 東京都美術館ミュージアムショップ | ふむふむ

2025/02/28 15:15

展覧会開催に伴い、注目を集めるジュアン・ミロ。スペインが誇る20世紀を代表する画家のひとりです。明快な形と鮮やかな色彩が織りなす自由闊達な世界観から「絵画の詩人」と呼ばれ、多くの人に愛されたミロの魅力を、ミュージアムショップからお届けします。

子供のころから美術好き

産業革命を遂げ、近代化が進む華やかなバルセロナで、ミロは育ちました。どちらかと言えば、几帳面で内向的。騒がしい遊びには加わらず、周囲を観察することが好きな子供でした。子供のころから美術に興味を持ち、日曜日の朝になると美術館へ出かけ、ロマネスク壁画を眺めていました。「天使の羽にまで目がある」ことに衝撃と感動を覚えたことが、のちのミロ作品に頻繁に登場する「目」のモチーフに繋がっていると言われています。美術学校での学びは、ミロにとって表現の技術の枠を超えた大きな影響を与え、音楽や詩との出会いもここでありました。ミロの初期の作品は、フォービズムやキュビズムからも影響を受けたことが見受けられます。

シュルレアリスムとの出会い

1919年、学校を卒業したミロは、パリへ出ます。壁があった両親からの援助を断り、生活が苦しくなろうとも誘惑の多いパリでも自分自身を律し、堅実に人生を歩みました。窓ガラスが破れたアトリエで過ごし、昼の食事が週に2、3度でやっとだった時も。干葡萄やチューインガムで凌ぐときもあり、大変苦しい時代を過ごしていましたが、1924年にシュルレアリスム運動に参加したことで、形体を単純簡潔に把握するようになり、対象の記号化による独自の造形言語を確立していきました。
それはやがて幻想的になり、形や線を広い画面に自由に配した作風が始まります。本能や自由な連想から生み出されたイメージを、抽象画のような、時には子供の落書きにも見える筆使いで、自由闊達に描く手法を見出しました。


広まる危機と絶望の中で見つけた光

1936年から1939年のスペイン内乱の頃は、パリにとどまり、暗く沈んだものになっていきました。1940年に、ドイツがパリを占領すると、ミロはスペインのマジョルカ島に逃れました。その時のことを、後にこう回顧しています。「戦争がはじまり、私は脱出したいと痛切に願った。私はわざと自分の殻に閉じこもった。夜と音楽と星が、作品の発想において重要な役割を持つようになった。」
将来への見通しが暗い中、1941年48歳の頃、ニューヨークの近代美術館で行われた回顧展が成功をおさめたことで転機が訪れます。そして、1945年にニューヨークの画廊で代表作のひとつである連作「星座」が初めて公開されるや喝采を浴び、圧倒的な名声を得ることができました。戦後、ミロの評価は国際的にも高まり続け、今日まで愛されています。

交友関係が広かったミロ

ミロがアトリエから街へ繰り出すときは、意外にもオシャレなスーツを身に纏い、ひげも綺麗にそり、まるで一流企業のビジネスマンのような紳士的な装いでした。にこやかに振る舞いながらも無口な気質で知られていましたが、ピカソやブラック、シャガールやマティス、そしてカンデンスキー、ダリなど、様々な芸術家と交際。交友関係は広く、社交的な一面もありました。
特に、バルセロナ時代から詩人の活動に興味を持っていたため、詩人との交流から生まれた仕事も多かったミロ。彼自身が、「私の作品は画家が曲をつけた詩のようなものかもしれない」と言うほど、尊敬する詩人たちの詩を読み、そして愛し、詩的な絵画を目指していたのでした。

観る人の心にゆだねるミロの絵

バルセロナの旧聖十字架病院で開催された大回顧展で、こんなエピソードがあります。会場に来ていた数人の男の子たちと話していたミロは、こう尋ねられました。「ドン・ジョアン。この絵はなにを意味するのですか?」するとミロはすぐさまその子に、君はご両親と公園や田舎を散歩することがあるかと聞き返し、その少年が「ある」と答えると、こう続けました。「それなら、小鳥のさえずりが聞こえてくるとき、君は、何を話しているんだい、って小鳥たちにきくかい?きかないだろう、ね?だけど、君は小鳥の声を聞くのが好きなんだ。」
抽象美術とシュルレアリスムのはざまで、独自の作風を追求し、20世紀を代表する画家の一人として人々を魅了してきたミロ。「絵画の詩人」と呼ばれるほど、完全な自由とこの上ない無邪気な魅力が、幻想の世界で私たちを楽しませてくれています。

文中写真:ポストカード 198円(税込)/グリーティングカード330円(税込)/ポスター1,100円(税込)

ミュージアムグッズでミロの作品を楽しもう!

今回、展覧会に合わせて常設ミュージアムショップでも多数のミログッズを取り揃えました。
人気のポストカードはもちろんのこと、ピンバッジ、Tシャツ、書籍など、バリエーション豊かに並んでいます。
左上:ピンバッジ 2,200円(税込)
左下:ボールペン 1,650円(税込)
右:Tシャツ Mサイズ 9,240円(税込)

神経衰弱ゲーム 1,980円(税込)

スペインで生まれたコンテンポラリージュエリーブランド

当店でも人気の、スペイン・バルセロナを象徴するコンテンポラリージュエリーブランドJOIDART(ホイダルト)から、新しい仲間を入荷しました。スペインを代表する芸術家ミロの独創的なフォルムからインスピレーションを受け、新たなジュエリーコレクションとして命を吹き込みました。
独特のアート的フォルムが目を惹く、日常を彩るエレガントなアートアクセサリー。創造性と気品を兼ね備えた個性派デザインが魅力のJOIDARTは、1981年にカタルーニャ地方のジローナでの創業以来、多彩な分野のアーティストと協力して独創的なジュエリーを生み出し続けています。
ブローチやネックレス、ピアスなど、シンプルながらもミロの無邪気で遊び心のある詩的なフォルムが魅力的なチャームデザインに。作品に親しみやすさと美しさを感じられるファッションアイテムとなりました。コーディネートにエッジをきかせてくれる抜群の存在感を放ち、オシャレをするのが楽しくなりそうです。
JOIDARTアクセサリー 11,000~27,500円(税込)

店頭、オンラインショップ合わせて、まだまだ様々なミログッズが入荷予定です。私たちの心を弾ませてくれるミロ作品が、日常を彩ってくれるミュージアムグッズを一緒に楽しみましょう。

※当店のミロ関連グッズは、特別展「ミロ展 Joan Miró」〈2025年3月1日(土)〜7月6日(日)〉公式グッズではありませんので、お間違えの無いようご注意ください。
参考
「ミロとマヨルカ」 ペレ・A・セーラ 著 佐和瑛子 訳 美術出版社
「新潮美術文庫48 ミロ」岡田隆彦 新潮社
「NHK世界美術館紀行4 カタルーニャ美術館 ミロ財団 カルースト・グルベンキアン美術館」 NHK「世界美術紀行」取材班 編 日本放送出版協会
「想像と個性の競演 モダン・アートのはじまり」 アントニー・メイソン著 木村尚美訳 国土社
「ヴィヴァン 新装版・25人の画家 第24巻 ミロ」木村重信 編 講談社

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