ジョルジョ・デ・キリコ［Giorgio de Chirico］（1888年7月10日-1978年11月20日）は、20世紀に活躍したイタリアの画家です。デ・キリコが人気なのは、キャンバスの中に摩訶不思議な世界を創り出し、シュルレアリスムの先駆けとして、美術界で新しい世界の扉を開いた人物だからです。デ・キリコは神秘的で謎に包まれたそれらの絵を、自ら「形而上絵画」と名付け、提唱しました。「Metafisical painting」の訳で、形而上派、またはメタフィジック絵画とも呼ばれています。

▶ポストカードセットではデ・キリコの作品が多数楽しめます　

「形而上（けいじじょう）」という言葉。初めて聞いた方もいるかもしれません。哲学でよく使われる用語で、広辞苑によると「時間・空間の中に形をもつ感覚的現象として存在することなく、それ自身超経験的な、ただ理性的思惟によってとらえられるとされる存在。」と意味づけられています。つまり「形がない、精神的なもの」です。

フリードリヒ・ニーチェの哲学や、アーノルド・ベックリン、マックス・キリンジャーといった象徴主義の絵画に大きな影響を受けたデ・キリコは、街路の片隅、広場、鉄道の駅、顔のないマネキン人形などのモチーフを用いて、事物の非日常的な組み合わせから、幻想的で神秘的な内面世界の表現を目指しました。空虚な風景、奇妙なゆがみをみせる遠近法、幾何学的形態などによる哲学的、暝想的画風は、実際にこの目で見ることができない現象や景色を生み出します。

デ・キリコの作品は、サルバドール・ダリやルネ・マグリットといった前衛画家たちに多くの影響を与えました。1920年代に始まるシュルレアリスムの開花に繋がっていくのです。

1919年以後は、古典的な作風に転じましたが、晩年には幻想的な作風に回帰。過去の「形而上絵画」作品の再制作や引用、また「新形而上絵画」と呼ばれる新たな作品にも取り掛かります。90歳の生涯を閉じるまで、精力的に創作を続けたデ・キリコは、絵画のみならず、彫刻や挿絵、舞台美術など幅広く活動しました。

数多くの作品を通して求めた現実を超える現実。不条理で非論理的な構成や静謐な静けさが、見る者を不安を抱かせる反面、見たものの脳裏に一瞬で焼き付くほど、忘れられない魅力として心に残ることでしょう。

今回、展覧会に合わせてデ・キリコの作品をお部屋のインテリアとして楽しめる大きなポスターを入荷しました！30年以上前のすでに廃盤となった希少な海外ポスター。1992年製という年代物なので、一部状態が良くない箇所もございますが、ヴィンテージ品として、その刻まれた年月を味わいとしてお楽しみいただければ幸いです。

美術館にお越しいただけない方のために、オンラインショップでは状態の良いものをセレクトし、数量限定で販売いたします。各種2枚ずつと少ないため、皆様に公平に販売できるよう抽選とさせていただきます。