hmm, by 東京都美術館ミュージアムショップ | ふむふむ

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2022/07/23 08:28


※10/9(日)に閉幕致しました。
※図録は完売しております。
多くの方のご来館・ご来店、誠にありがとうございました。

…………

東京都美術館では、新しい展覧会が始まりました。
「椅子」という、一風変わったテーマの展覧会です。

みなさんは、椅子を購入するときに、どのような基準で選びますか?

座り心地?
見た目のデザイン?
素材、高さ、背もたれ、肘掛け・・・

私たちは、置く部屋の雰囲気や座る目的をスタートとして、
瞬時に頭の中でイメージを巡らせながら、
自分の感性とシチュエーションに合わせて、最適な一脚を選んでいることでしょう。

私たちは、「椅子には驚くほど様々なバリエーションがある」ということを
当たり前のようにとらえていますが、
これらは先人の「生活を豊かにする試行錯誤の遍歴」が刻まれた結果だったのです。

家具デザイン、それは生活に根付いたデザイン領域です。
「使用性」という椅子としての大切な機能をふまえながら、見た目の「美しさ」も求めていく。
「使いやすい」だけでも、「美しい」だけでも成り立たない。
異なる両軸を追求するデザイナーの挑戦を感じてみませんか?

インテリア・建築業界の方はもちろんのこと、
インテリア好きな方まで、ぜひおすすめしたい展示構成です。

そんな企画展「フィン・ユールとデンマークの椅子」をショップスタッフがレポートします!

■展覧会詳細


企画展「フィン・ユールとデンマークの椅子」

Finn Juhl and Danish Chairs
2022年7月23日(土)~10月9日(日)
東京都美術館 ギャラリーA・B・C
休室日:月曜日、9月20日(火)
※ただし、8月22日(月)、29日(月)、9月12日(月)、19日(月・祝)、26日(月)は開室
▶詳細は、こちらから公式HPをご覧ください


デザイン大国として知られる、北欧の国デンマーク。
1940年代から 60年代にかけて、
デンマークでは歴史に残る優れた家具が誕生しています。

デンマークのデザイナーのなかでも特に注目したいのが、
今回の展覧会の主役である「フィン・ユール」(1912-1989)です。


フィン・ユールとは?

1912年、デンマークのコペンハーゲン近郊フレデリクスベアに生まれます。
若い頃は美術史家を志していましたが、
父親の反対から王立芸術アカデミー建築科に進学します。
在学中からヴィルヘルム・ラウリッツェンの建築事務所で働き始めます。

1937年、25歳のときに家具職人組合の展示会に初出品。
家具職人ニールス・ヴォッダーとの協力関係のもと、
1940年代には《イージーチェア No.45》、《チーフテンチェア》など、
代表作となる椅子をデザインしました。

(左)フィン・ユール《イージーチェア No.45》1945年デザイン 織田コレクション(東川町) 撮影:大塚友記憲
(右)フィン・ユール《チーフテンチェア》1949年デザイン 織田コレクション(東川町) 撮影:大塚友記憲


また、1942年にはコペンハーゲン北部のオードロップゴーに自邸を建設し、
自らデザインした家具や日用品に囲まれて暮らしました。

1950年代はアメリカへと活動の場を広げ、
国連本部ビルの信託統治理事会議場のインテリアと家具デザインを手掛けるなど、
国際的に名を広めていきます。
スカンジナヴィア航空のオフィスや旅客機のインテリアデザイン、
世界各地で開催されたデンマーク・デザインを紹介する展覧会場デザインなど、
建築家、インテリアデザイナーとしても幅広く活躍しました。


北欧デザインの巨匠、フィン・ユールの魅力

フィン・ユールは優雅な曲線を特徴とし、
まるで「彫刻のような椅子」とも言われる
ひときわ美しい家具をデザインしたことで知られます。

当時、家具デザイナーたちの多くが、
家具の専門学科や家具工房の出身であるのに対し、
美術史家になることを夢見ていたフィン・ユールは
独自のルートを辿りました。

アカデミーで建築を学び、
建物の設計やインテリアデザインにたずさわるなかで
家具デザインを手がけたのです。

身体を抽象化したようなやわらかなフォルムは、
座って心地よいばかりでなく、
彫刻作品にも似た静謐な存在感があります。

会場内では、デンマークの家具デザインの歴史と変遷をたどりながら、
建築を学び、美術を愛した彼ならではの
こだわりがつまったフィン・ユールデザインの魅力に迫ります。

座って体感!


「椅子とは本来は座るもの」
なんと、デンマークデザインのさまざまな椅子に実際に座り、
そのデザインを体験できる空間があるのです!

フィン・ユールをはじめ、
デンマークの優れたデザイナーたちの豊かな発想から生まれた椅子に座り、
それぞれのスピリットを体感してみる―――
「観る」だけではない「体験型」の鑑賞は、ワクワクしますね!


世界的にも名高い「織田コレクション」

みなさんは、北海道東川町が所蔵する「織田コレクション」をご存じでしょうか。

椅子研究家・東海大学名誉教授・東川町文化芸術コーディネーターとしてご活躍の織田憲嗣氏
研究資料として長年にわたり収集してきた20世紀の家具、日用品のコレクションです。

その種類は、フィン・ユールをはじめとした北欧中心の椅子やテーブル、
照明、食器やカトラリー、木製のおもちゃまで様ざま。
椅子は、なんと1,350脚もあるそう!

さらに写真や図面、文献などの資料を含め系統立てて集積されており、
近代デザイン史の変遷を俯瞰できる学術的にも極めて貴重な資料です。

その稀少性と研究実績が世界的にも高く評価され、
各国から展覧会への協力要請が相次いでいます。

本展は、世界的にも名高い織田コレクション
東京でまとめてご紹介する、初めての機会だそう!

試作として作られた貴重な一脚から名作と言われる椅子まで、
バラエティに富む数々の椅子をお楽しみいただけます!


(左)フィン・ユール《ペリカンチェア》1940年デザイン 織田コレクション(東川町) 撮影:大塚友記憲
(右)フィン・ユール《イージーチェア》1955年デザイン 織田コレクション(東川町) 撮影:大塚友記憲


椅子のデザインにはじまり、
建築設計やインテリアデザインまで、
フィン・ユールの幅広い仕事が紹介されている本展。

椅子という、あらゆる日常を支える身近な家具ですが、
私たちが快適に生きるためのヒントが見つかりそうですね。

参考:
  

Mail Magazine

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