著者:大久保恭子
出版社 : 三元社 (2016/3/31)
単行本(ページ) : 384ページ(カラー口絵24+本文360)
サイズ:22x16x3.5cm
内容
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「切り紙絵は私に色の中で素描することを可能にした」
20点の挿画と画家直筆のテクストが印刷された総合芸術作品『ジャズ』は出版直後から高い評価を得たが、挿画の原画である切り紙絵作品は「晩年の気晴らし」として、研究者の多くに近年まで等閑視され続けてきた。本書はこのマティスの切り紙絵の世界に新しい光をあて、芸術的書物『ジャズ』とは一体何か、主題、手法、時代性などあらゆる側面から問い直す。
(出版社ウェブサイトより引用)
目次(抜粋)
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口絵 『ジャズ』原画と『ジャズ』図版の比較
序章 マティス研究の新段階 9
第一部 『ジャズ』のイメージ
第一章 作品分析をめぐる問題 20
第二章 原画主題の原初性 44
第三章 原画制作に潜む遅延 71
第四章 主題の祝祭性 108
間奏曲
第五章 マティス芸術における「シーニュ」の変容 138
第二部 『ジャズ』のイメージと文字
第六章 テクストに見る双対性 ―テクストについての考察 その一 176
第七章 テクストと挿絵制作 ―テクストについての考察 その二 194
第八章 『パラード』と第一次世界大戦 ―表題についての考察 その一 217
第九章 『ジャズ』と第二次世界大戦 ―表題についての考察 その二 239
終章 出版後の『ジャズ』 261
あとがき 277
参考文献一覧 35
索引 45
図版出典 52
資料編
『ジャズ』全頁縮小見本 56
『ジャズ』テクスト全文(日本語/フランス語) 66
『ジャズ』関連年表 74
アンリ・マティス Henri Matisse (1869 – 1954)
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フォービズム(野獣派)の代表的人物として活躍し、その活動を終えた後も、自身の制作スタイルを模索しながら「色彩」を探求した、20世紀フランスの画家です。
マティスが絵を描くようになったのは、20歳を過ぎてからでした。
それまでは、父親に言われるままに、裁判所の管理者の資格を取得するため、パリで法律を学んでいました。
無事に法科資格試験に合格し、法律事務所の書記として働いていましたが、1889年、盲腸炎を患って床に臥せていた際、母から画材を贈られたことをきっかけに絵画に興味を持ち、画家に転向します。
初めは写実的な絵を描いていましたが、後期印象派のゴッホやゴーギャンの影響を受け、自由な色彩で表現するようになりました。
モチーフの色を実際のものと変えて、大胆な色彩で描いた作品たちは「野蛮である」とされ、「野獣派」=フォービズムと言われるようになりました。
それは決して野蛮な行為ではなく、物自体の本来の色彩から離れ、固定概念を捨て、感性だけを頼って彩色をするという、絵画の新たな可能性を広げるものです。
マティスは野獣派と呼ばれることを嫌い、活動を3年ほどで辞めてしまいます。
1910年以降は、南仏ニースに移り、新たなスタイルで制作を始めました。キュビズムの影響を受け、幾何学的、抽象的な表現をするようになります。
また、フォービズム時代よりも更に色と形の単純化を図ったマティスは、切り絵に挑戦しました。
油絵のように制作の途中で色彩を構成していくのではなく、初めから色彩を決め、色彩の中から形を拾うという作業は、マティスが追い求めていた「色彩」で描くことの到達点となりました。
晩年、4年をかけて制作した南仏ヴァンスのロザリオ礼拝堂の衣装、ステンドグラスや聖母子像などは、色や線、形が洗練され、生涯をかけて色彩と形を追い求めたマティスの集大成と評されます。
その後1954年、心臓発作によりマティスは84歳で亡くなりました。
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